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日本経済の原動力は製造業の技術開発力

那須:永守社長とは、あるプロジェクトがきっかけで初めてお会いしました。メーカーにいくら良い製品や技術があっても販売力に欠ける場合が多いとおっしゃっていましたが、私も同感です。

那須
永守

永守:製造業が日本経済の源泉だということは間違いありません。クオリティの高い製品を開発するスピードも速い。ですが、昔と違うところがあります。海外移転が当たり前になっている点と企業規模の大小は関係なくなってきたという点です。厳しい国際競争の中で売上アップを目指すためには国際展開を視野に入れなければならない。弊社は昨年4月に設立したばかりのまだ若い会社ですが、海外も含めた「拡販の場」を作ることを事業の目的にしています。縮小する国内に留まっていては発展ができません。

那須:利益アップのための仕組みづくりは重要です。

那須
永守

永守:以前、海外赴任をしていた時に感じたことですが、東南アジアのものづくりは日本が思った以上に進んでいます。“日本は今でもものづくり大国なのか?”という疑問が湧きました。日本よりも高い時給でエンジニアを雇っていることや、日本じゃつくれないモノをつくる技術とパワーを目の当たりにし、底知れぬものを感じました。日本は本当にこれでいいんだろうかと自問自答しましたね。

那須:なるほど。それで製造業とITを融合した「Makers-IN」が生まれたわけですか。

那須
永守

永守:製造業向けポータルサイト「Makers-IN」を立ち上げたのは、製造業が地球規模でビジネスを行うためのお手伝いがしたいという強い思い入れがあったからです。

那須:「Makers-IN」はお金をかけずに海外で拡販する良いツールですね。

那須
永守

永守:海外進出といっても中小企業の多くは、まず“言葉”に戸惑います。売掛金の回収も不安材料のひとつ。大雑把にいえば魑魅魍魎でなんだか恐ろしい、といったイメージがある。こんな理由で企業が優れた製品を売り込むチャンスを逃すなんてことは無くしたい。弊社は、企業の商品や技術を世界中にPRするため、日本語、英語、中国語の三カ国語で情報発信をしています。また、中小メーカーが海外進出する際の問題を解決するサポート業務にも注力しています。

那須:海外へ出向いて仕事をとってくるという意気込みは重要です。

那須
永守

永守:ところで貴社のインダストリー・ジャパンっていいネーミングですね。またコンセプトの“製造現場は日本の底力”も分かりやすい。

那須:ありがとうございます。コンセプトも現場取材を重ねているうちに日本の製造力に感銘を受け、自然に出てきたフレーズです。日本は戦後、高度経済成長期を経て経済大国に発展しました。これは経済大国の前に技術大国だったからこそ経済が発展したのだと感じています。日本経済の原動力は製造業の技術開発力であり、一番、国際競争力を持っていた。日本人特有の忍耐力と執念深さが技術の集積をつくりあげ、国際競争力を高めてきたのだと感じています。日本人は執着する。できるまであきらめません。そこが日本の製造業の強みです。

那須
永守

永守:自動車、家電、パソコンにしても新製品が出るスピードは速く、製品が目まぐるしく変わる。これは季節の野菜と同じで旬がすぐ終わってしまうことに似ています。このサイクルが当たり前になり、それに合わせて速やかに製品をつくり、スピーディに送り届けて売りまくる。それが半年後には価格が半分になるので、間髪いれずに新製品を投入する。飽きやすい消費者を相手にし、売っては逃げのスピード競争にも対応してきた。

那須:ところが残念なことに日本のあらゆる分野で国際競争力が低下してきていることは否めません。製造業はここが踏ん張りどころです。永守社長がおっしゃったように、どんな難題でもクリアしてきた実績が日本にはあります。ですから企業規模にかかわらず中小製造業でも世界で戦える優れた技術を持った企業はたくさんある。インダストリー・ジャパンはこのような製造業のお役に立つために設立しました。現在、製造現場のニュースを配信する「製造現場ドットコム:seizougenba.com」もリニューアルしています。海外への生産移転が当たり前になっている現在、技術流出が気になりますが、これを超えるスピードで日本の技術開発は進化していくと期待したい。

那須

売ることにもっと貪欲に

永守

永守:戦後、日本の高度成長期を支えてきたのは輸出産業でしたが、プラザ合意後、一気に進む円高により大不況に陥り、その後バブル経済が到来しました。

那須:そうして産業空洞化がやってきた。失われた10年という言葉も流行りましたね。

那須
永守

永守:バブルの崩壊後、企業は利益の確保のため“人材を含めた合理化”と“生産性の向上”を強力に推し進め、なんとか乗り切ってきた。

那須:技術といえば日本は環境関連分野・低炭素分野はやっぱり強い。

那須
永守

永守:たしかに、電気自動車、省エネ家電、太陽光発電、風力発電、原子力発電などは成長産業として期待されているようです。これらの分野は、いうまでもなく日本の得意分野で、その技術は世界トップクラス。世界各国から日本の技術を求めてくることに間違いない。現に、アメリカ国防総省から太陽光発電技術を軍事利用したいということで、日本に技術協力を求めてきました。日本の環境技術は、個々の企業の経営戦略として培われてきたものであり、これこそ強みだと感じます。

那須:ところで中小企業の強みは大企業にない“効率の良さ”と“フットワークの軽さ”です。

那須
永守

永守:社長が「これでいくぞ!」と一声掛ければ社員が一丸となって集中する。結束力も人数が少ない分、強いです。日本人の気質の特長はきめ細やかな視点。かゆいところに手が届くような仕事っぷりは世界中どこを見ても珍しい。ですから日本の製品は注目され信用されるのです。このような土壌があるのにもかかわらず、「売る」ことに消極的になっている経営者がいるということは勿体ない話です。現在、電波のスピードで地球上を情報やカネが飛び交っている時代、それらの情報は電子化され、さまざまな分析も可能になりました。おかげで距離や時間を考えず情報のやりとりができます。現在、ITを通じて世界にある企業の活動は、ほとんどの産業分野に広がっている。世界と繋がっているということは、もう当たり前なのです。「国際化」という言葉も人によっては特別なキーワードに聞こえるかもしれませんが、ビジネスでは当然のこと。

顧客は世界中に散らばっている

那須:新しい需要を生み出し、世界に勝負を挑めるような最新のアイディアがあっても、消極的になるなど非常に残念な話です。もっと「売る」ということに貪欲になってもいいんじゃないか、と強く感じます。よく、「うちは大企業じゃないから」とか「景気が悪いから」と最初からネガティブな声も聞きますが、これでは利益向上に繋がらないのは当たり前。企業の利益は売ってなんぼ、運は動いてなんぼなんです。枯渇していく資源問題を抱えながら地球上で熾烈な競争が巻き起こっている。これがサバンナで繰り広げられる動物の世界だとすると、自分でエサも捕れぬ動物は死んでしまいます。誰も何もしてくれません。他力本願では生き残れないということですね。

那須
永守

永守:グローバリゼーションという視点から考えると、インターネットの発展でほとんどの国の企業が国籍にこだわらなくなってきた。ということは、世界中に散らばった顧客がいるということになる。したがって言語の壁を越えて世界中に散らばっているニーズを求めて動いている人のほうがはるかにチャンスは多いということです。コストを圧縮して利益を確保する手法ももう限界でしょう。国内に留まっている理由はどこにもないんです。 私が海外展開を推し進める理由はそういうところにある。利益を確保したければ今の時流にあった経営戦略を考えなければなりません。私はそのお手伝いをしたい。

那須:インダストリー・ジャパンも設立の際に電子コミュニケーションを検討しましたが、業界の体質を考慮して、時期尚早との判断により雑誌で製造業を応援することになりました。それから数年が経過して、いよいよ電子コミュニケーションの時代がやって来た。機が熟したと考え、構築にかかりました。大企業はそれぞれの記者クラブに担当記者がいて容易に公表し、日刊新聞に掲載することができる。一方、中小の製造業はいくら世界に通用する商品や技術を開発しても発表、PRすることに難点があります。そこで、弊社は中小製造業の記者クラブ的役割を果たし、発表文章もお手伝いをして世界に発信しようと考えておりました。ちょうどそのときに永守社長にお会いしたというわけですね。

那須
永守

永守:そうですね。目的がぴったりでビックリしました。今回、このようなご縁があってコラボレーションすることになりましたが、われわれのシナジー効果は製造業で活躍する皆さま方にとって大いに役立つものと信じております。頑張っていきましょう!

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